生命保険と自己破産の関係
どうしても返済が間に合わず、自己破産をすることになってしまいました。自己破産は手続きの中で自身のもつ財産を清算しなければなりません。もちろん生命保険も対象となってしまいます。
しかし、現在は病気を抱えているため、解約されてしまうと生命保険にはもう入れなくなってしまうかもしれません・・・。もう二度と生命保険に入ることはできなくなってしまうのですか?
こういった相談。非常に多くあります。では、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、生命保険と自己破産について詳しくご説明させていただきます。
生命保険の解約は手続き上は必須ではない
生命保険が自身の財産として評価されるのは、解約返戻金がある場合のみです。掛け捨て型の生命保険であれば、加入したまま自己破産手続を進めることも可能です。
また、積み立て型であっても解約返戻金が「20万円以下」であれば、解約を強制されるようなことはありません。
生命保険を解約されないテクニック
生命保険の解約返戻金が20万円以上であった場合、手続きの関係上、解約を促されることがほとんどです。しかし、この解約返戻金を20万円以下にしてしまう方法があります。ただし、この方法は裁判所へ自己破産の申立をした後では間に合いませんので、前もって準備をしておくようにしましょう。
生命保険の契約にもよりますが、解約返戻金を担保として借入をすることができます。この担保貸付を利用して、解約返戻金見込み額を20万円以下にしてしまうのです。
このときに借入れたお金に関しては、裁判所へ使途を説明できなければなりませんが、生活費や弁護士費用とすれば説明はつきます。
かなり強引といえますが、生命保険を解約されてしまうというのは今後の生活に不安を残すことになりますので、こういった手段で解約を回避する方法もあります。
保険法の介入権を利用する方法も
自己破産時の生命保険受取人を保護するために、2010年に保険法が改定され、介入権という権利が新たにできました。こちらは自己破産時に換価されてしまう解約返戻金を、破産者以外の親族が負担することにより生命保険を解約せずにすむというものです。
返戻金相当額を準備しなければなりませんが、生命保険を維持するためには有効な手段といえます。
自己破産手続において、生命保険を解約しなくてもすむ方法はあります。状況に応じてこれらをうまく利用することによって生命保険への不安は解消されるはずです。