自己破産で免責にならない債務
自己破産手続を取ることによってすべての債務から解放される!こう思っている方はとても多いのではないでしょうか。
確かに自己破産手続きによって債務の弁済義務から免れることができます。しかし、自己破産手続を取っても免責にならない債務というものがあるのです。これを「非免責債権」といいます。
免責の対象外となっている債務
非免責債権にはおおまかに下記のようなものがあります。
- 税金
- 罰金
- 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償金
- 破産者が故意又は重大な過失で加えた交通事故などの損害賠償金
- 破産者が隠匿した債権者
- 婚姻・養育費用
これらはすべて免責決定を得たとしても支払い義務が残ります。
各非免責債権をわかりやすく解説
税金について
税金とは、住民税や所得税など国や地方自治体に納めるべきものです。多重債務者は税金を滞納していることがよくありますが、自己破産をしたとしても支払い義務が残ってしまいますので、税金は優先して支払うようにしましょう。
罰金について
罰金とは、刑事罰による罰金だけではなく、交通違反などの反則金や行政上の手続き違反による過料も含まれています。
損害賠償金について
損害賠償金についても免責の対象とはなっていませんが、破産者が悪意で加えたなどの条件がついています。ここでいう悪意とは法律用語で、「知っていること」をいいます。つまり不法行為であることを知っていて加えた場合のことをいっています。
また、交通事故などの生命または身体を害する不法行為については、「重大な過失」と条件がありますので、場合によっては免責となることもあります。
婚姻・養育費用について
婚姻費用というのは、配偶者との別居時などに発生している生活費のことをいいます。自己破産をしたからといって、配偶者を扶養する義務がなくなるわけではありません。
これは子どもに関してもいえることで、自己破産をしたからといって子どもを養育しなくていいことにはなりませんので、養育費についても免責となることはありません。
自己破産には免責決定を得ることができたとしても支払い義務がなくならない「非免責債権」というものがあります。非免責債権に関しては支払いが免れるものではありませんので、自己破産を検討する場合にはそのことを忘れないようにしなければなりません。